交通事故について


◆過失について

Q. 事故の過失割合とよくいいますが、過失割合とはどういう意味ですか?

まず「過失」とは、ごく簡単にいうと不注意といった意味あいです。
交通事故でいえば、車どうしの交通事故の場合など、お互いに何らかの不注意が認められることが多くあります。そのようなとき、お互いの不注意・責任の割合が何パーセントと何パーセントか、ということを表したものが「過失割合」になります。
たとえば、直進で走っている車に横の車線から他の車が車線変更してきて接触したような場合、基本的な過失割合は直進車30パーセント、車線変更車70パーセント(30:70)、といったりします。

Q. それでは過失相殺とはどういう意味ですか?

自分のほうにも不注意が認められる場合、自分の損害の全額が認められるのではなく、自分の損害のうち、先に述べた過失割合分が減額されることになります。
つまり、交通事故によって両方に損害が生じた場合でいうと、お互いの過失割合分を減額することになり、このことを「過失相殺」といいます(民法第722条2項。片方だけ損害が生じた場合も同様です。)。
たとえば、先に述べた例で、Aさんの損害が10万円、Bさんの損害が20万円、AさんとBさんの過失割合が30:70だとした場合、AさんはBさんに対して計7万円(10万円×0.7)を損害として支払ってもらうことができます。
反対に、AさんはBさんの損害のうち、6万円(20万円×0.3)を支払う義務が生じることになります。

Q. 事故の過失割合について,相手方の保険会社の担当者と電話で話したら「判例タイムズという本だと30:70が基本になります」といわれました。「判例タイムズ」っていったい何のことですか?

ここでいう「判例タイムズ」とは、判例タイムズ社が発行している「別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版(東京地裁民事交通訴訟研究会)」という本のことです。
交通事故は年間何十万件も発生します。そのときに、毎回事故の当事者どうしで責任をいちから決めていくのではとても大変です。
そこで、裁判官(東京地方裁判所民事27部という交通専門部の裁判官)が、過去の同じような事故のデータ等を参考に、「この形の事故なら基本の過失割合ががだいたい○:○で、事案に応じて10%とか20%とか数値を修正しよう」と、類、型化したものです。
現在の交通事故の賠償実務では、裁判所も実際にこの本を利用して過失割合を判断することが一般的といえると思います(実際、東京地裁民事27部の裁判官の講演会でも、担当裁判官が同様の話をされていました。)。

Q.「判例タイムズ」のことはわかりました。そうすると相手方の保険会社の担当者の説明する過失割合に従わないといけないのですか?

「判例タイムズ」は法律ではありませんし、あくまで事故の類型ごとに過失割合を一般化したものです。
そのため、絶対に従わないといけないというものではありません。
たとえば、そもそも実際の事故が「判例タイムズ」で一般化した事故類型とは違うという場合が考えられます。その場合は、必ずしも「判例タイムズ」によることなく、同様の事故に関する判例などから過失割合を判断することが考えられます。
また、「判例タイムズ」で一般化した事故類型と同じような場合であっても、たとえば相手方に大幅なスピード超過があるといったような場合には、10パーセントの修正要素になる、といったことも考えられます。
このとき、ご自身の主張を裏づける証拠があるかどうかがポイントになると思います。
たとえば、自動車のドライブレコーダーの動画が残っていれば有力な証拠になり得ます。また、弁護士が交渉する場合には、弁護士に法律上認められた手続き(弁護士会照会、23条照会といいます。)によって、警察が作成した書類(物件事故の場合は物件事故報告書、人身事故の場合は実況見分調書など)を取り寄せてみて、内容を確認することが多くあります。
さらに、同じような交通事故について過去の判例があるかどうかを調査することもよくあります。
具体的な交渉や証拠の収集方法などについては、ご相談の際にお尋ねください。

◆物損(物件損害)について

Q. 交通事故で自分の自動車が壊れてしまいました。怪我はありません。このようなとき相手方に何を請求することができますか?

人ではなく車(ここでは自家用車を前提とします。)が壊れたような場合に、相手方に請求しうる主なものとしては、①修理費用(後で述きます。)、②代車費用、③評価損(格落ち)があげられます。なおその他、レッカー代なども損害に含まれます。

Q. 修理費用とは何ですか?

修理費用とは、今回の交通事故によって壊れた部分の修理に必要な費用をいいます。
そのため、今回の事故とは無関係の部分の修理費用を相手方に請求しても認められません。

Q. 代車費用とは何ですか?

代車費用とは、今回の交通事故によって壊れた部分を修理するため、修理工場に車を預けている期間に利用した代車(レンタカー)の費用です。

Q. 代車費用は常に損害として認められますか?

車費用は、常に損害として認められるわけではありません。
具体的には、①代車を利用する必要性がある場合(たとえば日常的に車を利用しており、手元に車がないと困る、など)に、②妥当な期間(一般的には,入庫から修理が終わって手元に戻るまでの合理的期間)について、③妥当な金額(たとえばレンタカー会社の料金表に沿った1日の適正額であることや、事故車両と同じ程度のクラスの車であることなど)の範囲で認められうることになります。
また、実際に代車を利用したことが前提になります。

Q. 評価損(格落ち)とは何ですか?

評価損(格落ち)とは、交通事故によって車が破損したため、車の価値が下がってしまったことについての損害をいいます。

Q. 評価損(格落ち)は常に損害として認められますか?

評価損(格落ち)も、常に損害として認められるわけではありません。
具体的には、①修理をしても完全には直らずに機能や外観に欠陥が残る場合(これを「技術上の評価損」といいます。)と、②修理して欠陥は残っていないものの、事故歴・修理歴が出たことによって中古車市場の価格が低下したような場合(これを「取引上の評価損」といいます。)に認められうることになります。
特に、②の取引上の評価損の場合については、あくまで修理はできているため、外形上どのような損害なのかわからないところがあります(そのため、買替えをあまり予定しない営業用車両はより厳しく判断されうるところです。)。
そこで、裁判所も無条件にこれを認めるではなく、車の車種や、初年度からの期間、走行距離、損傷の部位や程度などを考慮して、修理費用のうち一定割合に限って損害と認める傾向にあるといえます。
具体的な主張方法や判例の傾向などについては、相談の際にお尋ねください。

Q. 交通事故で壊れた自動車の見積りをしてもらったら修理可能で修理費用は50万円と出ました。ところが相手方の保険会社の担当者と話したら「全損だから時価額の30万円までしか認められない」と言われました。
全損とは何のことですか?

全損とは、大きく分けると、①修理もできないくらい大破している場合(これを「物理的全損」といいます。)と、②修理はできるが、事故持の時価額よりも修理費用のほうが上回っている場合(これを「経済的全損」といいます。)の2つがあります。
今回のケースは修理可能とのことですので、②経済的全損を指していると思われます。

Q. それでは全損にあたると修理費用全額は損害として認められないのですか?

交通事故のような不法行為に基づく損害賠償請求をする場合、金銭で賠償してもらうのが原則になります。そうすると、たとえば事故当時の車の時価より修理費用のほうが高い場合であっても、車の時価を賠償すれば、特段の事情のない限り、賠償責任を果たしたことになります。
そのため、先ほどの事例でいえば、通常は車の時価(30万円)を支払えば足り、特段の事情のない限り修理費用全額(50万円)まで損害と認めることは困難になります(もっとも、このような法律上の話とは別に、相手方の自動車保険の内容によっては、この差額も賠償してくれる特約がついていることもあります。)。

Q. それでは事故当時の車の時価はどのように算定するのですか?

事故当時の車の時価は、原則として、事故車と同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離などの中古車を、中古車市場で取得するために必要な金額から算定することになります。
(最高裁昭和49年4月15日判決・民集28巻3号385頁,交民7巻2号275頁。判例はこちら)。
また実務上、事故当時の車の時価について争い、増額が認められることもあります。方法などの詳細についてはご相談の際にお尋ねください。

Q. それでは全損にあたる場合もし新しい車を買ってもその費用は全く認められないのですか?

もし、事故によって車が全損となり、修理をあきらめてやむを得ず別の車を購入した場合は、事故車の時価とは別に、新しく購入した車の費用のうち一部が損害として認められうることになります。これを「買替諸費用」といいます。
たとえば、自動車取得税や新車を購入した場合に課税される自動車重量税、消費税などであり、一般的には数万円程度の範囲になることが多いかと思われます。

◆お怪我(人身損害)について

Q. 交通事故にあって怪我をしてしまいました。
病院に通うつもりですが治療費はどこまで損害として認められますか?

一般的に治療費は、病院に通院した分が常に損害として認められるわけではありません。具体的には、交通事故によって受けた怪我の内容や程度に応じて、妥当な治療期間について、必要かつ相当な範囲で損害として認められることになるといえます。

Q. それでは妥当な治療期間とは具体的にはどれくらいなのですか?

妥当な治療期間とは、怪我の内容や程度、また完治するかどうかによっても異なってきます。
たとえば、すり傷や軽い打撲のような場合は、比較的早めに完治することが通常ですので、一般的には完治までの治療期間を妥当な治療期間とすることが多いと思われます。
また、たとえばむち打ちでも、比較的症状が軽く、おおむね3か月程度で治るのであれば、一般的にその期間を妥当な治療期間とすることが多いと思われます。
他方で、むち打ちでも痛み等の症状がひどく治療がずっと場合や、骨折、あるいは手術が必要な程度の重傷を負ってしまったような場合、さらに治療期間が長くなることがあります。
またその上で治療を続けても、残念ながら完治までしないで、一定の痛み等の症状が残ってしまうことがあります(この状態を、後で述べるとおり「症状固定」といいます。)。
治療費の「治療」とは完治・治ゆすることを前提にしています。
そのため、仮に症状固定の段階になった(完治しない)ということであれば、実務上、症状固定日までの治療費を妥当な治療期間とすることが一般的といえます(症状固定日よりも後の治療費は、いわゆる「症状固定後の治療費」や「将来の治療費」として、裁判等でも激しく争われることが多いところです。)。

Q. 病院には間をあけないで定期的に通院するべきと言われました。これはなぜですか?

たとえば、交通事故によって怪我をしたのに初診まで2週間以上空いてしまったり、通院はしたものの1~2か月通院を中断したりすると、自賠責保険調査事務所から「交通事故との相当因果関係が認められない、あるいは不明である」などとして、治療費を否認される(損害と認めてもらえない)ことがあります。
このような場合、相手方が保険会社に加入していて治療費の支払いなども担当しているときは、その保険会社もその後の治療費の支払いを拒むのが通常です(私が相談を受けたり実際に担当した事案でも、そのようなケースが複数ありました。)。
そして、仮に裁判を起こしたとしても、裁判所にその後の治療費を認めてもらうのは容易ではありません。
そのため、交通事故によって怪我をされた場合、妥当な治療費の支払いを受けるために、体調や治療の経過をみながら定期的に通院していただければと思います。

Q. 早く怪我を治したいです。そのため病院だけでなく整骨院にも通いたいですのですが整骨院に通った分の代金は常に損害として認められますか?

街中には、「交通事故に対応します」と張り出してある整骨院が多いと思います。
そのため、たとえば交通事故によってむち打ちなどの怪我を負った場合に、さまざまな理由で近所の整骨院に通われるケースもあると思います(近くに病院がない、病院は勤務時間の関係であまり行けない、整骨院でマッサージを受けたい、など)。
他方で実務上、相手方や相手方保険会社との間で、整骨院の代金(施術費)が争いになることも少なくありません。
ここで、交通事故による損害のうち治療費については、実務上、医師による治療を受けることが原則となります。そのため、整骨院の施術費について常に損害として認められるわけではありません(以下、鍼灸院などについても同様です。)。
具体的には、①病院の主治医の指示がある場合か、仮に②指示のない場合については、施術の必要性、有効性があり、かつ施術期間・内容・費用が相当といえるときに、損害として認められうるということができます。
以上から、整骨院に行くにあたっては、病院の主治医の先生に相談したり、相手方が保険に入っている場合には、事前に相手方の保険会社担当者に連絡しておくべきと思われます。
その他、詳細な交渉の方法や内容については、お気軽にご相談ください。

Q. 相手方の保険会社の担当者から整骨院だけでなく定期的に病院にも通院するようにと言われました。これはなぜですか?

先に述べたように、交通事故による損害のうち治療費については、実務上、医師による治療を受けることが原則であり、怪我の診断や治療方針、治療経過の判断なども医師が行うことになります。そうすると、もし整骨院にだけ通院すると、医師が治療経過をみていないために、今後の方針などについて判断できなくなる可能性があります。
そこで、医師に的確なアドバイスをしてもらうためにも、整骨院とあわせて定期的に病院にも通院するようにいわれたのだと思われます。
私見では、このことは医師にしっかりご自身の体調や治療経過をみてもらえることにつながりますし、また整骨院の通院について争いになるのを防ぐことなどにもつながるため、患者様にとってメリットがあるものと考えております(整骨院の施術の効果自体を否定する趣旨ではありません。)。
逆に、たとえば最初の数回だけ病院に通院して、その後は整骨院にだけずっと通院していたような場合、もし痛みが残ってしまったため後遺障害の申請をしようと主治医に相談しても、「途中経過をみてないからわからない」などとして、後遺障害診断書の作成などの協力を断られてしまったりすることもありますので、ご注意ください。

Q.交通事故による怪我の治療を続けてきたところ主治医にこれ以上は改善が見込まれないと言われました。また相手方の保険会社の担当者にも症状固定になったと言われました。
この「症状固定」とは何ですか?

一般的に「症状固定」とは、交通事故によって受けた傷害について、これ以上治療を続けても完治せず、症状がよくならなくなった状態のことをいいます。
また「労災補償障害認定必携」(労働福祉協会)という本では、「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態」とされています。

Q.主治医が症状固定と判断したのであれば、それは仕方ないのかもしれません。しかしまだ痛みも強いのにこの状態をまったく考慮してもらえないのは納得いきません。
よく後遺障害ということばを聞くのですが後遺障害とは何ですか?

後遺障害とはさまざまな定義があります。一般的にいうと、交通事故によって精神的肉体的な傷害を受けて、症状固定の状態になった後に労働能力の喪失を伴った場合で、その症状について交通事故が原因と認められるもの、ということができます。
法律では、「傷害が治つたとき身体に存する障害」(自動車損害賠償保障法施行令第2条2項)とされています。
また「労災補償障害認定必携」(労働福祉協会)という本では、「交通事故による傷病が症状固定したときに残存する当該傷病と相当因果関係を有し、将来においても回復が困難と見込まれる精神的又は肉体的な障害であって、その存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うもの」とされています。
後遺障害には、重いほうから順に1級から14級までの等級が定められています(自動車損害賠償保障法施行令附則の別表第一、別表第二)。

Q.そうだとすると自分の症状は後遺障害に当たると思うのですがそのように主張すれば直ちに後遺障害と認めてもらえるのですか?

後遺障害と主張すれば直ちに認められるわけわけではありません。
後遺障害と認めてもらうには、主に、①後遺障害の申請をして、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に認定してもらう、②①の結果に納得できない場合に、異議申立てまたは紛争処理申立てをして認定してもらう、③裁判を起こして裁判所に後遺障害と認定してもらう、といった方法があります。
ただし、③裁判を起こした場合でも、裁判所は自賠責損害調査事務所が後遺障害と認定したか、認定したとして何等級かといったことを非常に重視します。
そのため、実際には直ちに③裁判を起こすのではなく、①後遺障害の申請をして、自賠責損害調査事務所に後遺障害と認定してもらうようにすることが一般的と思われます。

Q.それでは後遺障害の申請の手続きはどのようにすればいいのですか?

まず、主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらう必要があります(「後遺障害診断書」はA3の用紙で、書式は一般的な怪我の場合のものと、歯に損傷を受けた場合の歯科用のものがあります。保険会社が用紙を持っていますが、インターネットでも書式が出回っています。)。
その上で、①相手方の保険会社に後遺障害診断書を送付して、手続きまで行ってもらう方法(「事前認定」といいます。)と、②ご自身または代理人で資料を集めて申請手続きを行う場合(「被害者請求」といいます。)があります。

Q.後遺障害の申請をしたものの「後遺障害に当たらない」(非該当)という結果になりました。
納得できないのですが裁判を起こす前に不服を申し立てたりできるですか?

できます。先に述べた②異議申立てまたは紛争処理申立てをして認定してもらう方法が考えられます。
このうち、異議申立てについては回数の制限は特にありません。
これに対して、紛争処理申立て(自賠責保険・共済紛争処理機構に対して行います。)は1回しかすることができず、かつ満足のいく結果を得られなかったとしても、同じ争点についての申立てをすることができなくなり、あとは裁判を起こすことになります。そのため、紛争処理申立ては異議申立てでも納得できない場合の最終手段と考えていただくといいかと思います。

Q. 交通事故で怪我をしてしまい精神的肉体的にとても大変です。慰謝料などを支払ってもらえると聞きましたがどのような賠償をしてもらえるのですか?

まずはお怪我が治ることが第一ですので、しっかり治療されることが大事だと思います。
他方、損害の賠償は金銭賠償が原則であり、交通事故により人身損害を被った場合も同様です。このときの賠償の内容は、後遺障害が認められるかどうか、入院の有無などによって異なってきます。
1.後遺障害のない場合
⑴ 通院のみの場合
主なものは、治療費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料などです。
⑵ 入院もした場合
1⑴に加えて、入院諸雑費などが考えられます。
2.後遺障害も認められた場合
1⑴⑵に加えて、主に後遺障害慰謝料、逸失利益が考えられます。
また、特に重傷で日常的な看護や介護が必要な場合には、付添看護費や将来介護費用が、さらに入院もして特に親族の付添いも必要だった場合には、入院付添費が認められることがあります。
その他、家屋改造費用や移動補助費(車いす、松葉杖)が認められることもあります。

Q. 休業損害とは何ですか?

休業損害とは、交通事故による怪我のため、休業または不十分な就労を強いられ、その治癒または症状固定の時期までの間に(交通事故がなければ得られたはずなのに)得られなかったことによる損害のことです。

Q. 傷害慰謝料と後遺障害慰謝料は別のものなのですか?

そうです。傷害慰謝料は、交通事故によってお怪我をされたために生じた肉体的精神的損害に対する慰謝料で、これに対して後遺障害慰謝料とは、交通事故による怪我が治らずに後遺障害が認定されたことに対する慰謝料という位置づけです。仮に後遺障害が認定された場合、傷害慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料が損害として認められます。

Q. 逸失利益とは何ですか?

逸失利益とは、不法行為がなければ被害者が得たであろう経済的利益を失ったことによる損害をいいます(内田貴「民法Ⅱ」第3版383頁,東京大学出版会)。
要は、交通事故による後遺障害のために,将来に向かって以前の労働能力が失われてしまったことから、(交通事故がなければ得られたはずなのに)得ることができなくなった利益・収入のことです。